池田ひとみ、田代葵、中村洋子「Empty Inside」
3名の女性作家による「中身が空っぽ」の展覧会です。
さまざまな素材へのアプローチから、作品の中身とは何かを考えます。
eitoeikoでは10/19より11/16まで、三名の作家による展覧会「Empty Inside」を開催いたします。糸や紙や金網でつくられた表面だけで成り立ち、がらんどうになった、中身が空っぽの展覧会です。その作品を前に、作品の中身とは何かを考えます。池田ひとみ、田代葵、中村洋子ら三人が作品に用いる素材は、その強度や特徴、成り立ちなどそれぞれ異なりますが、素材が導くテーマや性質を利用した作品は、私たちが社会を生きるヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
池田ひとみは、クロッシェレース(レース編み)を樹脂で固定した作品を制作しています。空間の中にものの表層だけを浮かび上がらせたかのような作品は、目には見えないが記憶に残っている思い出のようなものの形なのかもしれません。素材の軽さも物質とのギャップを感じさせる要素となっています。
田代葵は、商品を購入するたびに貯めていったレシートの紙を織った織地を立体作品として発表しています。衣食住から学習や娯楽まで、生活の全般に関わる行為を社会の「おもて」側にたとえるならば、その消費の記録、あるいは代償を示し、ある意味「うら」側として発行されるレシートを使って新たな一面を生み出した作品からは、その営為にこめられた幾層もの社会構造が垣間見える作品です。
中村洋子は建築材料である、頑丈で重量のある金属メッシュを、柔らかに曲げていき、布地のように軽やかな曲面を描く作品を制作しています。作品は重力や固さ、強度といった要素を脱臼させて、日常を錯覚させていきます。またそこに陶土を付着させ焼き上げる作品からは、年代や技法に対しても思い込みから意外性をもたせています。
中身が空っぽの中に、何が見えてくるか。そこにこめられているものを想像してお楽しみいただけたらと思います。皆様のご来廊をお待ちしております。
池田ひとみ…1983 長崎県生まれ。2006 早稲田大学卒業。クロッシェレース(レース編み)を用いた立体作品を制作している。毛糸模写 CCC静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター 2022、ニャンともならニャイ eitoeiko 2022、CATastrophy QiPO メキシコシティ2023など。
田代葵…1994 兵庫県生まれ。2020 京都市立芸術大学大学院修了。レシートを織ったタペストリーを制作している。都市のポートレイト KUNST ARZT 2022、第17回国際タペストリートリエンナーレ Central Museum of Textiles ウッヂ(ポーランド) 2022、織りなすカタチ ギャラリーパウゼ 2023、習慣 KUNST ARZT 2024など。
中村洋子…1950 石川県生まれ。1971 東横学園女子短期大学(現東京都市大学)国語国文学科卒業。1972 同家政学科専攻科卒業。陶芸と金属メッシュを加工した作品を制作している。雨引の里と彫刻 2006、08、11、13、15、19、生への言祝ぎ 大分県美術館 2016、加藤亮+中村洋子 House on the sea トキ・アートスペース 2018、来るべき世界:科学技術とAI、人間性 青山学院大学青山キャンパス 2019、桜を見る会 eitoeiko 2021、加藤亮+中村洋子 Brackish water 象の鼻テラス 2023など。
池田ひとみ、田代葵、中村洋子
Empty Inside
2024年10月19日(土)~11月16日(土)
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