【首都圏】内装仕上げ工事業、「適正工期への見直しの動き実感せず」と6割が回答

野原グループ株式会社

2024.07.19 05:28

~建設産業「第3次担い手3法」成立も適正工期や労務費の改善はまだ道遠く、労務費の引き上げ交渉も5割強が実施できておらず~

BuildAppで建設DXに取り組む野原グループ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:野原弘輔)は、「建設DXで、社会を変えていく」情報メディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が首都圏の内装仕上げ工事業従事者を対象に2024年5・6月に実施した「【建設の2024年問題】内装仕上げ工事業の実態調査(非住宅分野)」の結果を発表します。

内装仕上げ工事は、木材、石膏ボード、壁紙、たたみ、カーペット、ふすまなどを用いて建築物の内装仕上げを行う専門工事 で、建設工事の工期の終盤に実施されます。そのため、建設工事全体の工期遅れが発生した場合には、従来、内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事で突貫工事(多くの現場作業員によって短期間で工事を終わらせること)を行い、どうにか全体工期を順守してきたと言われています。
 
一方、建設産業を巡っては、国会では6月に「第3次担い手3法」が可決成立しています 。今後は、ますます「働き方改革(適正工期)」「処遇改善(労務費)」生産性向上」が「持続可能な建設産業の在り方」にとってのキーワードとなりつつあります。また、2024年4月から時間外労働の上限規制厳格化(建設の「2024年問題」 )が建設産業にも適用され約3ヶ月が経過しました。
 
内装仕上げ工事業の実態調査(非住宅分野)の結果からは、首都圏においては、適正工期確保に向けた全体工期見直しの動きは鈍く、5割強が労務費の引き上げ交渉を実施できていないことから、処遇改善への道は遠い状況であることが分かりました(次頁参照)。
 
「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が3月に発表した「現場監督・所長307名の実態調査」の結果からも、現場監督・所長(現場代理人)の4割が「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる」と回答しています。
 
野原グループは、建設工事を支える専門工事企業、建設現場(施工)の取りまとめを担う建設工事の元請企業(主にはゼネコン)の「現場監督・所長(現場代理人)」が一体となって施工現場の生産性向上を実現していく必要があると考えます。そのためにはデジタル活用・建設DXが不可欠であり、野原グループはBuildApp事業で、施工プロセスの生産性向上に寄与し続けてまいります。

【首都圏】内装仕上げ工事業の従事者139名(非住宅)の実態調査|結果要点

  1. 【適正工期】内装仕上げ工事業の従事者139名に「全体工期の見直しの動きを実際に感じていますか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは36.0%、「いいえ」が64.0%だった。

    1-1.地域別「全体工期の見直しの動きを実際に感じている」との回答率(「はい」との回答率)をみると、2024年4月度着工建築物床面積(非居住用)が2023年4月と比べて増加傾向にある都道府県 のうち千葉県(66.7%)、東京都(37.7%)、新潟県(100%)、長野県(50%)では、全体(36%)よりも上振れしていた。

  2. 【適正工期と内装仕上げ工事】内装仕上げ工事業の従事者139名に「全体工期の適正化に連動して、内装工事の工期の見直しの動きを感じていますか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは28.0%、「いいえ」が82.0%だった。この結果は、建築工事が各種専門工事から成り立っていることに由来する工期管理の難しさを示唆している。特に内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事の工期適正化を実現するには一定の時間を要するのではないかと推察できる。

  3. 【処遇改善(労務費)】内装仕上げ工事業の従事者139名に「労務費・労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できていますか?」尋ねたところ、「はい」と回答したのは47.0%、「いいえ」が53.0%だった

    3-1.会社規模(従業員数)別「労務費・労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できている」との回答率(「はい」との回答率)みてみると、1~4人(n:23)で43.5%、5~50人(n:100)で46%、51~300人(n:13)で53.8%、301人以上(n:3)で66.7%、と、会社規模が大きいほど「労務費・労務単価の引き上げ交渉」ができていることが分かる。

    3-2.「労務費・労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できていない」と回答した74名に、交渉できていない理由を尋ねたところ(複数回答)「材料費と異なり労務費は見えない事が多く交渉が難しいから (33%)」、次いで「元請けと下請けの関係から労務費の交渉は難しいから(23%)」、「その他(7%)」との結果となった。

  4. 【生産性】内装仕上げ工事業の従事者139名に「元請け(工事発注会社)から、“生産性を向上してほしい”との要請はありますか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは50.4%、「いいえ」が49.6%だった。

    4-1.地域別「元請け(工事発注会社)から、“生産性を向上してほしい”との要請がある」との回答率(「はい」との回答率)をみると、2024年4月度着工建築物床面積(非居住用)が2023年4月と比べて増加傾向にある都道府県のうち千葉県(66.7%)、東京都(56.5%)、新潟県(100%)が、全体(50.4%)よりも上振れしていた。
 
※調査結果の詳細は別紙を参照願います。
 

調査実施概要 (調査元:BuildApp News 編集部)

調査期間:2024年5月28日、6月2日
回答数:139名
調査対象者:野原装栄会・神奈川野原装栄会の正会員(内装仕上げ工事企業)
調査方法:WEBまたは調査票配布 (野原グループ株式会社)
調査地域:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県、山梨県
※野原装栄会は、野原グループ株式会社建材カンパニーが事務局を務め、約660社の優良な内装工事会社様と建材メーカー様を会員として全国8ヶ所の地区で活動を展開しています。業界に関係する様々な情報の交換と、良質な内装仕上工事の提供を目指し、各種の研修会や講演会を通じて業界の地位向上に努めています。

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  4. 【建設DXを身近に感じるコンテンツ】マンガや動画で、気軽に分かりやすく、建設産業の課題、デジタル活用、建設DXを学べます。
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本件に関する報道関係者からの問合せ先

野原グループ株式会社
マーケティング部 ブランドコミュニケーション課(担当:森田・齋藤)

参考

  • 専門工事は全部で27種類あり、建設工事を行うには、原則、その工事の内容に沿った建設業の許可を得なくてはいけません。(建設業法)【参考】国土交通省「建設業の許可とは」
  • 「第3次担い手3法」の公布・施行についは、公益社団法人 全日本不動産協会WEBをご参考願います。
  • 建設の「2024年問題」とは、建設業における時間外労働の上限規制の適用開始を指します。国の方針として、「働き方改革関連法」の施行により、法律で定められた上限を超える時間外労働はできなくなっていますが、建設業は、長時間労働の背景に、業務の特殊性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限についての適用が5年間猶予されていました。その猶予期間が間もなく終わり、建設業は2024年4⽉から時間外労働の上限規制が適用されます。これにより、2024年4月以降、建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用されるため、建設の品質を維持したより一層の生産性向上が急務と言えます(上限規制の時間は月45時間、年360時間。違反した場合には、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)。【参考】厚生労働省 働き方改革特設サイト
  • 国土交通省が2024年5月31日付けで発表した「建築着工統計調査報告(令和6年4月分)」によると、前年同月と比較すると、事務所、店舗といった非住宅分野の着工建築物床面積は増加しています。詳細は、以下をご覧ください。【国土交通省WEB】https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001232.html 
  • 「材料費と異なり労務費は見えない事が多く交渉が難しいから」とは、労務費の計算に必要な歩掛、所要人数、割増賃金などは、施工が終わってみないと分からないため施工前は予測が難しく交渉しづらいことを意味します。
  • BIM(ビム)とは、国土交通省によれば、「Building Information Modelling」の略称で、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。
  • サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。
 

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