■９割を占める森林、効用生かせず荒廃が深刻な課題

　国勢調査(2020年)によると、本山町の面積は13,422haで、そのうち森林が12,088haと、約9割を占めます。しかし、「高知県の森林・林業・木材産業」(2018〜2019年)によると、本山町での素材生産量は最高の48,158ｍ³(2009年)から半分程度の20,000ｍ³にとどまり、林業の採算性が低下しています。その原因として林業従事者の不足、森林経営意欲の低下などが挙げられます。

　正しく監理されている森林資源は、生物多様性保全、地球温暖化の防止や水源涵養機能などさまざまな多面的機能を有します。本山町の優良な人工林は戦後の造林推進によって形成されてきたので、この９割以上はすでに主伐期を迎えています。しかし、林業従事者や森林の専門家のフォレスター、プランナーが不足しており、林業生産活動が停滞しています。結果として間伐、保育が適正に実施されず、荒廃が進んでいます。

■地域の山をよく理解した専門家が適切に森林監理することが重要

　本山町は2022年3月、持続可能な森林監理、地域振興のための「土佐本山コンパクトフォレスト構想」を策定しました。

当構想を実現するために、本山町の森林や土壌を十分に理解し、適切に監理する人材を確保する必要があります。そこで地域おこし協力隊の枠組みで地域フォレスターを募集し、地域に移住して林務行政を行う人材の育成を行うことにしました。

フォレスターとは、市町村森林整備計画の作成や適切な路網作設の方法、長期的視点に立った地域全体の森づくりの方法を指導する技術者のことで、森林総合監理士ともいいます。フォレスターの仕事は、単なる「森林管理」ではなく、森林を監督し管理する、つまり「森林監理」という業務です。

今回募集する地域フォレスターは、一つの市町村に定住し、その地域と伴走する形で林務行政を支援します。今回は本山町で林務に関する業務を行いながら、林業研修で技術を習得する候補生として募集します。嘱託期間は任用日から１年とし、活動実績などをふまえて最長３年まで延長します。

3年終了後は、地域フォレスターとして、本山町からの委託などにより活動してもらう予定です。

フォレスターズ合同会社は、森林総合監理士５人で結成された森林・林業の専門家集団です。代表社員の小森は、日本の自治体には、木の成長50年を共に監理できる人材が不足していると考え、フォレスターズ合同会社を立ち上げました。森林監理は領域が多岐にわたるため、5人それぞれが得意分野を生かし、チームで市町村の林務行政を支援しています。

■育成事業は継続　町に密着した森づくりを共に作り上げる

　本山町の地域フォレスター育成は、2023年4月から研修を開始し、成果を踏まえながら、継続的に人材育成を行っていきます。10年後のフォレスター数は吉野川北岸エリア 2 人、南岸エリア １人の計 3 人程度を想定しています。さらに今後の森林ゾーニング結果などとも合わせて、最終的な適正人数を決定していく予定です。

■本山町（https://www.town.motoyama.kochi.jp/）

・所在地　：〒781-3692　高知県長岡郡本山町本山504

・総人口　：3,261人（2020年現在）

・面　積　：13,422ha

・町　長　：澤田 和廣（さわだ　かずひろ）

■フォレスターズ合同会社　会社概要　(https://foresters-llc.com)

・社名  　：フォレスターズ合同会社(株式会社ピースマネジメント内)

・所在地　：〒444-0802 愛知県岡崎市美合町五反田7番地1 日研オフィスビル102

・設立　　：令和3年7月

・代表者　：代表社員　小森　胤樹（こもり　つぐき）

・事業内容：市町村林務行政支援、森林経営管理制度の運用支援、

　　　　　　市町村林務担当者育成支援