ハーネス工場を訪問する際の着眼点
今日は購買の品目の中でハーネス、車載電線だとかいろんな電気製品のないしはコンピュータの配線、コード、ケーブルこういったものを作っている工場を視察する際に注意する点を話したいと思います。
具体的にどういうポイントを見るか、既存のサプライヤーであればどういうところに着目してさらなる生産性の向上、品質の改善、コスト削減で利益拡大に結びつけるか無駄を省いて価格引き下げにつなげるか。
そういったポイントについて具体的に詳しく説明してまいります。
日本企業の指導を受けている中国工場の視察
私が実際に訪問したのは中国は広東省、恵州というところにあるハーネスの工場です。
この工場は実際に日本の電線メーカーの技術指導を受けています。
私が訪問した2019年、この時に私が訪問する1月前に古河電工さんが技術指導に来たという話でした。
その他にも住友電工さんだとか日本の大手電線メーカーの技術指導を受けているんですけれども、実際にはそういった日本の大手電線メーカーのOEMだったり外注、下請けいろんな関係があって日本の電線メーカーの技術指導を受けているということです。
技術がかなり進んでいる感じは受けましたが
日本の電線メーカーのトップクラス = 世界のトップクラス です。
特に住友電工、古河電工は世界のトップです。
私自身は日本で第5位の三菱電線工業にいましたけれども、やはり技術力といったら電線業界では住友電工さんですよね。
古河電工さんも歴史は古くてかなり高品位の製品を作っています。
工場を訪問した時に あ、なるほどなと
これが古河や住友のレベルかと参考になることももちろんありました。
ただ私自身が三菱電線工業の勤務の後にBMWとかテスコ、バクスターという外資で品質管理だとか生産管理についても学んできた経験からすると、あとちょっと遅れてるだとか考え方が足らないとかという部分もあります。
特に工場の作業員の人たちの労働環境だとか細かいところを言うとまだまだ足らないと、どうしてもハーネスの場合は労働集約型の部分があるので完全自動化は非常に難しいですね。
そういったときにどこまでその作業員の人たちの健康管理や作業姿勢、モチベーション、心と体のベストコンディションをキープするかが品質の向上だったり生産性の向上、社員のモチベーションによるコスト削減などいろんなものに影響を与えます。
なのでまだまだやるべきことがいっぱいあると思います。
当然技術指導に関しても私は三菱電線工業出身だということを明かしまして、是非ご指導くださいということもありましたので具体的に指導してきました。
そういうことは私が三一重工の顧問として今後建設機械の配線、さらにシェアを拡大させたいというメーカ側の思いもあって私も是非協力させてくださいということで指導してきました。
実際に見た、工場の改善すべき仕組み
作業員の作業姿勢やものの配置まず、製品は最終的な通電による検査に合格しないと出荷できないんですけれども、作業員はこの作業をずっと立って行っています。
単調な作業なので作業姿勢の問題はあるなというふうに思いました。
それから作業姿勢だけじゃなく、検査機器の位置だとかそれからこの検査の温度環境だとか湿度だとか、この部屋の照明の明るさの問題だとかまだまだ改善の余地あります。
将来この作業の一部をロボット化、自動化するといった時に置かれている電線をこの検索機器に差し込むという作業が多分ロボットアームで機械的にできるように将来的にはなると思うんですけれども、その時に設備の位置だとか置かれているハーネス、さらに他の部品との位置関係は修正しなければいけないだろうなというふうに思いました。
自動化でそろえた配置と教育次に現場では何気なく棚にハーネスが並んでいましたが、黄色いハーネスはきれいにぶら下がってる、その横の茶色と紫のハーネスはちょっとばらついている。
このような状態も後で揃えるという作業が待ってるんですけど、こんなことしなくても端の方を何か柔らかい素材のマットか何かでガードしてそこへ当てて並べればいちいち揃えるという面倒くさい作業をせずとも奇麗に並ぶと次の作業が楽になるだろうなと思いました。
こういったことも自動化した時にそういったものを設備として用意することによってこの作業はさらに時間短縮ということになります。
電線、ハーネスの先端部のコネクターの部分だとか端子の部分はこの金属の部分が少しでも傷がついたり変形したりすると不具合故障の原因になるのでここは十分注意をしなければいけないポイントになります。
ぜひこういうほんのちょっとしたこと品質不良の原因になるということを現場の人に理解してもらって、少しでもそういった不良をなくすとか作業効率を高めるとかっていう指導を古川さんや住友さんにもしてほしいなと思うんですよね。でもすでになかなか優秀です。
作業環境光、地面の改善次はハーネス、ボードにフックがかかっており、ここに長い枝分かれした電線を下げていくことで作業効率を高める、この斜めの角度もいろいろ工夫されていて日本でいけば矢崎さんだとかいろんなとこでも工夫されてやってるんですけど、作業台が動くんですね。
作業が終わると順に送られて次のものが来てまたぶら下げるという作業なんですけれども、作業員の下に引かれているブルーのマットは疲れないようにするために若干弾力性のあるものに変えたそうです。
これは日本の古川さんか住友さんどちらかの指導によるもので、作業員が疲れないようにするための工夫なんですけれども、まだまだ私からすると足りないです。
立ってる位置とボードの傾き、それから蛍光灯の明るさの問題、反射して見づらい、でテカテカに光ってるボードの表面これは反射を防ぐマット調の物ないしは艶消しのものである程度みやすくてなおかつ光の反射を防ぐと目が疲れないようにするということと、作業員の姿勢、どうしても前のめりになっては作業しづらいですよね。
手前には備品を入れるケースがあったんですけどこれが邪魔なんですね、それらの位置関係はこのボードが作業員の手前の方に寄ってくるような形に少し設計を変えてあげないとなかなか効率が上がってこないと思います。
ミスを防ぐためにこのボードの中に色んな書き込みがあって間違えないように作業するような工夫がされています。
これはどこでもみんなやってることなので当然これはいいかなと思うんですね。是非これさらに発展させてほしいなと思います。
工場内の温度環境さらに次、最新の設備を入れましたっていうことで稼働直前の新しい設備も見させていただきました。
なかなかスグレモノです。日本の指導が入ってのものなんですけど残念ながらまだ照明が目に優しくない。
中白色の蛍光灯なんですけど、これもう少し色を変えられるといいなとおもいました。
将来的にやっぱりこれにLED代わって、なおかつ照度が変わるということになると思いますし、ちょっと天井の扇風機が気になったのでこれ温度環境がちょっと心配でした。
恵州というのが広東省で、中国の中でもかなり高温、多湿な地域なので夏場が果たしてどんなのかなと、なお行った時がまだ春先の結構気温の低い時だったので快適な環境だったんですけど、そういったものを見るとちょっとどうかなというところですよね。
作業員のモチベーション、問題提示そして次がこれ工場内に掲示されていること。従業員の改善提案がこのように目に見えるように表示されて社員のモチベーションがあがるとこういう成果が出てますよっていうことで交渉の対象だとか、給料のアップに反映するという、これも日本のやり方ですよね。
こういった取り組みは日本の指導を受けてのことだと思うんですけど、モチベーションを高めるという点では非常にいいかなという風に思います。
そして次の作業もこれもボードに貼られています。
作業表示を見ながらの仕事になるんですけれども、まだまだ立ち位置の問題だとか、高さの問題、照明の問題、作業姿勢の問題、色んな改善ポイントがあると思います。
こういったちょっとした改善が生産効率が上げる、不良率を無くせるので気を付けてほしいポイントですよね。
ポカ避け次がプラスチックのケース、ここに部品を収めるポカ避け。いわゆる向き、上と下を逆にしないようにということで、ぴたっと収まるような形にしていました。
これも日本の電線メーカーの技術主導の結果。中国ここまでなかなかやらないんですけど日本はこだわりですよね。
いかに作業効率を高めるかということと、ミスをなくしたということと、ちょっとした工夫で作業効率が高まるということですね。
この方法は窪みのところに置いとけばいいということで非常に合理的だと思います。
作業スペースと部品の配置そして次、更にレベルアップして下にある台に切り込みがあってここに部品を並べると作業が一遍に5つのものが同時に作業できるということで非常に便利ですね。
こういった技術指導を日本のメーカーが指導してるというところはやっぱり中国の工場であってもかなり生産性は高いです。
そしてさらに次、具体的にこういう風に置きますよっていうものを見せているんですけども。
なかなか良いですよね。
ただこれもこの作業台の上に5つということなんですけれどもまだまだこれ工夫の余地はあると思います。
もう少しスペースの問題もあるでしょうけれども、置き方、この向きで果たして本当にいいのでしょうか。
縦に並べて作業しているのがいいのか、横なのかもう少し斜めにした方がいいのかという問題もあると思います。
このプラスチックのケースもフラットではあるんですけど少し斜めに角度をつけることによってさらに作業効率が上がるんじゃないかなという感じがします。
コストのいらない自動化次、これなかなか面白いアイデアだなと思ったのが住友電工さんのアイディアらしいんですけれども下にボールが奇麗に並んでいて、慣性の法則でブルーのプラスチックのトレーをトンと押すと勝手にすーっと動くと。
電気代もかからないし、確実にモノが楽に運べるという点ではこの摩擦係数をなくして物を運ぶという究極のコスト削減だと思うんですね。
必ずしもベルトコンベヤーで電気の力を使って動かすということだけが自動化、合理化じゃないと思うんです。
なかなか優秀な発想で住友電工さんやるなと思ったのはこの部分ですね。
色んなサイズのトレーがこの幅いっぱいいっぱいのものから小さいものまで、いろいろ送れるという点でもなかなかいいですね。
こういった工夫はどんどんしていけばいくほど工場の無駄を減らすことができます。
やたらと電気設備を使って電動化するっていうことが自動化、無人化ではあるんですけれども、エネルギーの効率のことを考えるとすべてを電動化することが果たしてどれだけいいのかということになると思うんです。
さらに次はこれは絶対改善の余地あり。
工場内にプラスチックのケースが重ねてあるんですけど、絶対これ崩して倒れて拾うというミスが絶対出てるはずなんです。
これを防ぐためにほんのちょっとした工夫としてフレームを用意してそこに並べる、ないしはこれを積み重ねるんじゃなくて横にして並べるというやり方とかいろいろ工夫はあると思うんです。
こういったちょっとした改善はまだまだです。やる余地があります。
次は作業員の人たちがこの作業している中できれいに並べているんですけどこれを手作業でやってる無駄があります。
これ方端をやっぱりさっき言ったように何かに当てて揃えていくと、もっとこの作業楽になるしまだまだこういったものを今度将来自動化するときにもう少し改善の余地あるかなと。
更に上の方にスチールの棒があって、ここに引っ掛けて送るというこういう工夫は多分日本の電線メーカーの指導だと思うんですけどなかなかこれはアイデアとしてはいいですよね。コストをかけずに改善する。
作業台のスぺ―ス問題最後に次の作業場で見つけた問題です。
ここで非常に問題なのはこの作業台のスペースです。
そもそも作業所のスペースの問題もあってこれ以上広げられないのかもしれませんけども、部品を棚の上に並べてしまうと作業スペースとして狭いということと、これでは端子の部分コネクターの先端部分に傷が付くリスクがありますので、これをやっぱり改善していかないといけません。
これ作業台の下に棚があってそこに色んな作業用の部材だとか工具を入れるということになってるんですけども、逆にこれ作業をしないものの部品ないしは完成品をここに入れるということにして作業台を広く使うという工夫をした方がいいかなということなんですね。
このようなちょっとした工夫がコスト削減に繋がるし、将来の自動化のためにいっぺんにやるんじゃなくて少しずつ目の前にある問題を改善してくということが必要だと思います。
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