ラオス政府と仏像修復活動に係る新たな協定を締結しました
令和5年度 第26回身延山大学ラオス仏像修復プロジェクト
身延山大学(山梨県南巨摩郡身延町身延3567 学長:望月海慧)では、国際日蓮学研究所・仏像制作修復室が東南アジア・ラオスのルアンパバーン世界遺産地区で仏像修復プロジェクトを実施しています。この度26回目となる現地渡航による事業を実施し、併せてラオス側と仏像修復活動に係る新たな協定を締結しました。
身延山大学ではラオス人民民主共和国政府情報文化省(現:情報文化観光省)と、ルアンパバーン世界遺産地域における仏像修復活動について2000年に協定を締結、以来「身延山大学ラオス仏像修復プロジェクト」(以下、本事業)として、現地に於ける仏像修復活動を継続して実施してきました。2009年からは「ラオス人修復技術者育成」を活動目的に加え、ラオス国立美術工芸大学教職員をはじめとした現地の人々に技術指導を継続して行い、現在までにおよそ100体を超える仏像を修復しています。本学の活動は仏像修復のみならず、仏像調査(2007年にラオス政府へ世界遺産地域内全35カ寺1174体分の調査台帳を提出)や最新の三次元測定機による仏像3Dデータ撮影、仏像現況調査、伝統的修復技法の研究等多岐にわたっています。また近年多発する仏像盗難被害はルアンパバーン世界遺産地域35カ寺だけでも86体を数えており、本事業では盗難被害防止に係る助言を行ってきました。本事業はラオス国民にとって精神的な拠り所である仏像を保存する活動を続けている唯一の事業です。
本事業は活動開始から24年を経て、その重要性がラオス政府から認められ、高い評価を受けています。今般新たな協定の締結に際し、ラオス側の強い希望により以下の点に変更が加えられました。
1、今般協定より活動実施期間を5年間とする(前協定書までは3年間)。
2、国立仏像修復センター設立への協力。
3、将来的な国宝選定を見据え、仏像修復・調査活動の事業活動範囲をラオス全土へ拡大。
4、身延山大学、ラオス国立美術工芸大学、情報文化観光省遺産局の三者による協定とする。
2月28日同国首都ヴィエンチャンにあるラオス国立美術工芸大学にて、身延山大学望月海慧学長、ラオス側からは国立美術工芸大学学長Dr.Khamsouk氏らが出席して、新協定調印式が行われました。
新協定調印式(2月28日 ラオス国立美術工芸大学 ヴィエンチャン)
仏像修復風景(国立王宮博物館内修復所 ルアンパバーン)
令和5年度の本事業は、2024年2月16日から3月5日の19日間、日本側5名ラオス側12名の計17名の参加者により活動を行いました。ルアンパバーン世界遺産地域内3カ寺より木彫仏像6体、首都ヴィエンチャン特別市内1カ寺より鋳造仏像1体の修復を終えることができました。また、本事業に先立ち2023年12月、ラオス全土の仏像調査の足掛かりとして、ヴィエンチャン特別市内寺院の調査を開始しました。本年度の本事業はコロナ禍による2年間の現地渡航中止を乗り越え、昨年度の現地渡航再開を経て、ルアンパバーンからラオス全土へその活動範囲を拡げるという記念すべき年となりました。
文責:鈴木義孝(身延山大学国際日蓮学研究所研究員・本事業プロジェクトリーダー)
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