新司法面接プロジェクトでの研究成果 ・・「日本版司法面接ガイドライン」を発表
特例認定NPO法人子ども支援センターつなっぐ(横浜市中区 代表理事:田上幸治、飛田桂 以下「つなっぐ」)は、新司法面接プロジェクトにおいて日本版司法面接ガイドライン及びプロトコルについての研究・開発を行ってきましたが、本年3月の中間報告を経て、このたび、「日本版司法面接ガイドライン」がまとまりましたので、発表することをお知らせします。
現状の課題
現在、日本で紹介・実践されている司法面接プロトコルは、元々、外国の児童虐待法制、対応機関の在り方を前提とした、一連の児童虐待対応システムの一部分をなすものです。現在では、その中で、特に、子どもに対する司法面接*1における実際の聴取部分のみが日本の関係者らの間で広く知られ、日本において司法面接が普及してきましたが、子どもに対する司法面接の構造全体についての理解が広がっていないことにより、プロトコルの独り歩きや誤解による弊害も散見されるように思われます。
また、⼦どもたちが安全な環境下で供述する権利、利益の実質的保障や、⼦どもたちが裁判所に出廷すること等による⼆次被害の防⽌が不⼗分である等の課題があります。
プロジェクトの目的
当プロジェクトは、子どもの権利擁護に資することを目的として、⽇本の法制度・社会文化的環境に一層即した形で、子どもに対する司法面接が行われる必要があると認識し、NCAC (National Children’s Advocacy Center)*2によるコンサルティングを受けつつ、
- 司法面接に関わる人たちが使いやすく*3
- 中立性があり
- 子どもに負担の少ない
日本版司法面接ガイドライン及び日本版司法面接プロトコルの研究・開発を行うものです。
日本版司法面接ガイドライン公表の意義
児童虐待対応は、事案の多様性に応じて的確な対応を見きわめ実行することが求められます。その解決のためには福祉部門と刑事司法部門の緊密な連携が不可欠です。本ガイドラインでは、児童虐待対応システム全体の課題を踏まえ、とりわけ、多機関多職種連携の結節点としてその深化の契機となっているいわゆる「司法面接」について、関連する事項を記載しています。これは、録音録画記録の実質証拠化が盛り込まれた、本年6月の刑事訴訟法改正と、12月からの運用開始を見据えたものです。
今回の公表は、日本の法制度・社会文化的環境により一層即した形で、子どもに対する司法面接が行われ、日本でも子どもに対する司法面接がより一般的な手法として広がり、子どもの権利が十分に擁護される社会の実現をねらいとしています。
本プロジェクトでの施行前の日本版司法面接ガイドラインの公表により、一定の研修を積んだ面接者らが、実際に子どもに対して司法面接を行う際に利用・参照していただくことで、より充実したガイドラインの作成を継続して行っていきます。
日本版司法面接ガイドラインの構成
I . 本プロジェクトの意義・位置づけ
II. 日本版司法面接ガイドライン
※詳細はホームページを確認ください。→ https://tsunagg.org/jfi/
*1子どもに対する司法面接
虐待や暴力等の被害を受けた子どもに対し、研修を受けた専門スタッフから誘導・暗示のない面接を行い、被害を受けたとされる体験・出来事を聞き取ります。
できるだけ早い時期に、できるだけ多くのナラティブ(子どもが自分の言葉で主体的・自発的に話すこと)を求め、それを録音録画することで正確な記録を残します。
*2 NCAC(National Children’s Advocacy Center)について
NCACは、1985年の設⽴以来、虐待を受けた⼦どもやその家族への対応について、世界中の138,000⼈の専⾨家に研修やコンサルテーションを行い、研究や⽂献等の提供を⾏なっています。
*3 司法面接に関わる人たちが使いやすく
本プロジェクトでは、日本で現在行われている取組の実情や課題等を把握し、かつ実際の面接者らが利用・参照可能な日本版司法面接プロトコルを作成するため、実際に代表者聴取・協同面接・司法面接に関わっている実務者・研究者らとの協議・ヒアリングを行いました。
NPO法人子ども支援センター「つなっぐ」について https://tsunagg.org/
性的虐待、性暴力の被害を受けた児童が、中立な立場でのインタビューをうけ、権利擁護のための手続きやサポート、身体的、精神的なケア等がワンストップで長期的に受けられることを支援しています。
[本件に関する報道関係者のお問い合わせ先]
特例認定NPO法人子ども支援センターつなっぐ 担当:新井/清水
TEL:045-232-4121/ E-mail: info@tsunagg. org
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