学習完走者は有能感および自律的動機が高い!習慣化プラットフォームSmart Habitを開発・運営する株式会社WizWe「企業語学研修前の動機づけ・有能感と学習量の関連」について論文を発表
この度、習慣化プラットフォームを開発・運営する株式会社WizWe(ウィズウィー、所在:東京都港区、代表取締役CEO:森谷 幸平)は、日本心理学会第87回大会にて、WizWe総研 主任研究員 丹野 宏昭 Ph.D.による「企業語学研修前の動機づけ・有能感と学習量の関連」についての論文を発表いたしました。
■論文要旨
「企業語学研修前の動機づけ・有能感と学習量の関連」
【目的】
・グローバル化に向け業務員の英語学習に力を入れる企業は増えているが、その一方で成果が企業によってバラつきがみられることが指摘されている(辻,2008)。
・研修受講者からは、英語力に対する自信のなさや、英語教育についての不満の声は少なくない(小池他, 2010)。
・このような現状と、自己決定理論(Deci & Ryan,1985)から考えると、研修受講者の有能感や動機づけの高低が研修成果のバラつきに影響していると考えられる。
・丹野(2022a,2022b)によると、企業の語学研修や健康促進研修を調査し、研修開始前や開始直後の研修受講者の状態(動機づけの強さ、不安の低さ、開始時の行動量)が、最終的な受講者の累積行動量を規定していた。
・また丹野(2022b)では、研修事前のアンケート回答有無が研修へのエンゲージメントを反映していると考察された。
本研究では、企業の語学研修を対象に、研修開始時の有能感や動機づけの高さが研修受講者の最終的な学習量にどう影響しているかを検討する。
【調査方法】
■対象プログラム期間
2022年1月~12月までに開講され、2023年3月末までに終講した16企業の語学研修を分析対象。研修の期間は3~6ヵ月(企業によって異なる)
■調査対象者
・研修参加者 1企業あたり5~130人 合計509人(1企業あたり平均35.3人、SD=33.7)
■研修内容
・TOEIC対策の英語学習アプリを学習コンテンツとして利用して、期間中に規定量の個人学習を達成することを目標として求められた。
・案件によって研修期間は異なるが、週あたりの学習目標量は研修プログラム間で一定としている。
・学習者は週ごとの学習量に応じて週に一度、メンター(学習伴走者)からSmart Habitアプリを通じてフォローメッセージが送られてきた。
■開始時アンケート
・Learning Self-Regulation Questionnaire (SRQ-L; Black & Deci, 2000)を参考に、英語学習に対する動機づけを測定する尺度を作成し、7件法で回答を求めた。
-自律的調整(3項目))
例:「今回、私が学習する理由は、自分にとっての挑戦だからです」
-統制的調整(3項目)
例:「今回、私が学習する理由は、良い成績をとると、私の評価が高くなるからです」
-内発的動機づけ(1項目)
例:「今回、私が学習する理由は、学習すること自体が楽しいからです」
・「有能感(3項目例:英語学習をしっかりできると思う)」「不安の強さ(2項目例:英語学習に対して不安がある)」「時間のなさ(3項目例:英語学習にあてられる時間はあまりないと思う)」について7件法で回答を求めた
【結果】
●研修期間の長さによる学習達成率の差はない
学習者ごとに学習達成率(最終学習量÷学習目標量)を算出したところ、平均学習達成率は82.0%であった。研修期間の長さによる学習達成率の差はみられなかった。
●事前アンケート回答者の完走率は非回答者より高い
事前アンケートの回答率は84.3%。事前アンケート回答者の平均学習達成率は84.9%、非回答者の平均学習達成率は66.7%。学習達成率100%以上を完走としたとき、事前アンケート回答者の完走率は47.3%、非回答者の完走率は33.0%であった。
●完走者の有能感および自律的動機の得点が高い
事前アンケートの回答データと学習達成率の相関を算出。その結果、いずれも5%水準で有意な相関はみられなかった。一方で、完走者と非完走者の回答を比較すると、有能感および自律的動機の得点は完走者のほうが有意に高かった。
【考察】
この結果から、以下のように考えられる。
① 丹野(2022b)と同様に、研修の事前アンケートの回答が無い研修受講者はその後のプログラム参加が滞る可能性が高く、最終的な学習量も低くなると推測できる。
② 企業語学研修の事前アンケートによる動機づけ調査により最終的な学習量を予測できるという示唆は、本研究から得られなかった。
③ 一方で学習量に目標値が設定されている場合、研修開始前の有能感や自律的動機の高さが学習目標達成に寄与しうると示唆された。
尚、今回の調査は以下の限界がある。第一に複数企業での語学研修データを統合して一括で分析を行っているため、企業間で受講者の語学力差などの影響は考慮していない。また、企業による研修の大目標(例:海外赴任を念頭としている、研修成果が昇進に関わる等)にも差異がある。
丹野宏昭Ph.D.
WizWe総研 主任研究員
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 心理学専攻(博士) 社会調査士。博士号取得後、東京福祉大学心理学部にて講義および研究に従事。また、学外活動として社会人を対象とした「ゲームを用いたコミュニケーショントレーニング講座」も担当。
<主な研究>
・ゲームを用いたコミュニケーションスキルトレーニングに関する研究
・対人関係と適応に関する研究
■日本心理学会 第87回大会
会期:2023年9月15日(金)~17日(日)
会場:神戸国際会議場・神戸国際展示場
<習慣化プラットフォーム「Smart Habit」とは>
リアルなサポーターの伴走と自動化されたプログラムを組み合わせ、低価格で行動習慣を実現するサービス。2018年のサービス開始以来、ユーザー数は順調に推移し、現在では累計3万人のお客様サポートを実現。 語学など教育分野の学習習慣化で多くの大手企業様に導入いただき、学習完了率80%以上の実績を上げてきた。2021年からは、お客様のチャーン防止・LTV向上を支援するサブスク事業者様向けサービス「Smart Habit LTV」や、ヘルスケア業界の習慣化をサポートする「Smart Habit Healthcare」をローンチ。フィットネスおよびヘルスケア領域にサービスを拡大し、習慣化実現に取り組んでいる。
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