研修開始時の自律的動機の高さが学習達成率に影響! 習慣化プラットフォームSmart Habitを開発・運営する株式会社WizWe 「企業語学研修における開始時動機づけと学習達成量、満足度の関連」 について論文を発表
この度、習慣化プラットフォームを開発・運営する株式会社WizWe(ウィズウィー、所在:東京都港区、代表取締役CEO:森谷 幸平)は、日本社会心理学会第64回大会にて、WizWe総研 主任研究員 丹野 宏昭 Ph.D.による「企業語学研修における開始時動機づけと学習達成量、満足度の関連」についての論文を発表いたしました。
■論文要旨
「企業語学研修における開始時動機づけと学習達成量、満足度の関連」
【目的】
・昨今、グローバル化に向け業務員の英語学習に力を入れる企業は増えているが、その一方で成果が企業によってバラつきがみられることが指摘されている(辻,2008)。
・研修受講者からは、英語教育についての不満の声は少なくない(小池他, 2010)。
・自己決定理論(Deci & Ryan,1985)から考えると、研修受講者の有能感や動機づけの高低は、研修受講者の学習量を規定しうると考えられる。
・丹野(2022a,2022b)によると、企業の語学研修や健康促進研修を調査し、研修開始前や開始直後の研修受講者の状態(動機づけの強さ、不安の低さ、開始時の行動量)が、最終的な受講者の累積行動量を規定していた。
本研究では、企業の語学研修を対象に、研修開始時の有能感や動機づけの高さが研修受講者の最終的な学習量にどう影響しているかを検討することに加え、研修満足度に対してもどう影響しているかを検討する。
【調査方法】
■対象プログラム期間
2022年1月~12月までに開講され、2023年3月末までに終講した7企業の語学研修を分析対象とした。研修の期間は3~6ヵ月(企業によって異なる)
■調査対象者
・研修参加者 1企業あたり5~130人 合計215人
・TOEIC対策の英語学習アプリを利用して、期間中に規定量の個人学習を達成することを目標として求められた
■開始時アンケート
・英語学習に対する「自律的調整(3項目例:“今回、私が学習する理由は、自分にとっての挑戦だからです”)」「統制的調整(3項目例:“今回、私が学習する理由は、良い成績をとると、私の評価が高くなるからです”)」「内発的動機づけ(1項目”今回、私が学習する理由は、学習すること自体が楽しいからです”)」を測定する尺度を作成し、7件法で回答を求めた。
※参考:Learning Self-Regulation Questionnaire (SRQ-L; Black & Deci, 2000)
・「有能感(3項目例:英語学習をしっかりできると思う)」「不安の強さ(2項目例:英語学習に対して不安がある)」「時間のなさ(3項目例:英語学習にあてられる時間はあまりないと思う)」について7件法で回答を求めた。
■終講時アンケート
・研修プログラムの満足度を0~10の11件法で回答を求めた
【結果】
●学習達成率が終講時アンケートの回答有無にも寄与
開始時アンケートの回答率は78.6%、終講時アンケートの回答率は36.3%であった。学習者ごとに学習達成率(最終学習量÷学習目標量)を算出した。終講時アンケート回答者の平均学習達成率は129.1%、非回答者は63.6%であり、有意な差がみられた(t(213)=4.41, p<.01)。
●事前アンケートの自律的調整の高さが学習達成率と研修満足度を促進
変数を3水準に分け,上位の水準の変数を説明変数とする重回帰分析(ステップワイズ法)を繰り返し行った。事前アンケートの回答を第1水準、学習達成率を第2水準、終講時アンケートの回答(研修満足度)を第3水準とした。その結果、事前アンケートの自律的調整の高さが学習達成率と研修満足度を促進していた(Fig.1)。その他に有意なパスは得られなかった。
【考察】
この結果から、以下のように考えられる。
研修開始時の自律的動機の高さが最終的な研修満足度も直接規定していることが明らかとなった。
➡開始時に受講者の統制的動機ではなく自律的動機をいかに高めるかが、研修全体の達成率や受講者の満足度を左右していると考えられる。
学習達成率が終講時アンケートの回答有無にも寄与していると示唆された。
➡開講時の自律的動機が研修参加へのエンゲージメントに寄与しており、学習量および終講時アンケートへの回答にも影響していると推察される。
丹野宏昭Ph.D.
WizWe総研 主任研究員
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 心理学専攻(博士) 社会調査士。博士号取得後、東京福祉大学心理学部にて講義および研究に従事。また、学外活動として社会人を対象とした「ゲームを用いたコミュニケーショントレーニング講座」も担当。
<主な研究>
・ゲームを用いたコミュニケーションスキルトレーニングに関する研究
・対人関係と適応に関する研究
■日本社会心理学会 第64回大会
会期:2023年9月7日(木)・8日(金)
会場:上智大学 四谷キャンパス
<習慣化プラットフォーム「Smart Habit」とは>
リアルなサポーターの伴走と自動化されたプログラムを組み合わせ、低価格で行動習慣を実現するサービス。2018年のサービス開始以来、ユーザー数は順調に推移し、現在では累計3万人のお客様サポートを実現。 語学など教育分野の学習習慣化で多くの大手企業様に導入いただき、学習完了率80%以上の実績を上げてきた。2021年からは、お客様のチャーン防止・LTV向上を支援するサブスク事業者様向けサービス「Smart Habit LTV」や、ヘルスケア業界の習慣化をサポートする「Smart Habit Healthcare」をローンチ。フィットネスおよびヘルスケア領域にサービスを拡大し、習慣化実現に取り組んでいる。
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