そごう・西武とIdein、AIカメラを活用した「来店目的」可視化プロジェクトを開始
エッジAIで顧客のフロア間行動を分析、顧客体験の更なる向上を目指す
国内シェア2年連続No.1のエッジAIプラットフォーム「Actcast」を運営するIdein株式会社(読み:イデイン、本社:東京都千代田区、代表取締役:中村 晃一)は、株式会社そごう・西武(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:林 拓二)と共同で、そごう大宮店にてフロアをまたいだ来店客の行動・目的を可視化する実証実験を開始しました、実証実験は2022年から実施しており、今回で3回目となります。
実証実験の概要
◯ 期間:2023年5月30日(火)~9月30日(土)
◯ 場所:そごう大宮店(地下1階、2階および7階)
◯ AIカメラ設置台数:19台
〇 取得データ:来店数、属性(性別・年代)/来店客のフロア間行動履歴(店舗内の位置、買い回りの順序、滞在時間)
今回の実施背景
従来、店頭にて取得できる顧客データは店舗全体の来店者数と商品を購入した顧客情報だけでした。過去2回のAIカメラを用いた実証実験により、特定フロアにおける時間帯ごとの来店者数とその顧客属性の推定情報が取得できるようになりました。そして、取得したデータを基にした品揃えや催事の開催などに取り組むことで、新たな顧客の取り込みに繋がるなど一定の成果が出ています。
今回の実証実験はそれらを発展させた取組みとして、来店客の行動を可視化し、EC同様に顧客の解像度を上げることを目指します。その分析結果をもとに、品揃え・店舗レイアウトの改善を図り、顧客体験価値の向上につなげます。
実験の詳細
IdeinのActcastに繋がったAIカメラを使うことで取得したいデータに応じてAIアプリを柔軟に入れ替えることが可能です。今回は従来の人物の属性分析アプリから行動分析アプリにAIを入れ替えて実施しました。
行動分析に用いているReIDは、顔の特徴点をベクトルデータ化してIDを付与することで、同じ顔の特徴を持つ人物が各フロアのカメラに映った場合に同一人物であることを識別できる技術です。これを活用し、来店客の属性を推定するとともに、来店当日のフロアをまたいだ移動履歴を分析することで、年代別・性別来店客の目的が食品フロアへの目的購買なのか、非目的購買(ついで買い)なのかなどが可視化できるようになります。
現在までの行動分析の成果
今回の実証実験におけるフロア間行動分析の結果、20代の来店客の約7割が上層階の他の売場を経由して食品売場に来ていたことがわかりました。同様の行動は、30~60代の来店客では3~5割に留まっており、大きな違いがあります。
このことから、20代の来店客は食品売場以外のフロア(上層階のロフトなどの専門店や化粧品売場)を目的として来店し、ついでに食品フロアに立ち寄る「非目的買い」の傾向が強いことが推測されます。そこで、店内を回遊する20代の“ついで買い”をさそう仕掛けを実施すると同時に、目的を持って食品フロアに来店してもらうために20代の来店客に向けた品揃えや催事を開催し、若年層顧客の取り込みを目指すことが有効と考えられます。
今後の展開
今回の実証実験結果を踏まえて全館導入を検討し、“ECの当たり前をリアル店舗でも当たり前に”することで、来店客の買い物体験向上を目指します。また将来的には、AIカメラで取得したデータと購買データを組み合わせて、各テナントにサービスの一環として提供するなど、百貨店としての新たな価値提供も目指します。
過去2回の実証実験について
そごう・西武とIdeinは、AIカメラを活用した実証実験をこれまで2度実施し、着実な成果を上げてきました。
〈1度目の実証実験〉
【実施店舗・期間】西武池袋本店:2022年4月18日〜5月8日/そごう大宮店:2022年6月1日〜6月30日および2022年11月1日~2023年3月31日
【実施内容】来店客数の把握と来店客属性(性別・年代)の分析
【AIカメラ設置台数】西武池袋本店:29台/そごう大宮店:13台
【課題】店頭で取得できる顧客データが店舗全体の来店客数と商品を購入した顧客情報に限られていた
【実証結果】来店層と購入層に10歳以上の年齢ギャップがあった
【成果】店舗内レイアウトの変更、動線改善による30代以下の来店客増加
〈2度目の実証実験〉
【実施店舗・期間】西武池袋本店:2022年10月〜2023年2月および4月~
【実施内容】催事場(物産展)の来店客数の把握と属性(性別・年代)の分析
【AIカメラ設置台数】8台
【課題】物産展はメンバーズカードの対象外であり、来店客の定量的なデータを取得できていなかった
【実証結果】毎年開催している「京都名匠会」来店客の3割近くが30代以下であることが分かった
【成果】若年層来店客により楽しんでいただくための商品・販促アイデア創出
*過去実証実験の詳細と成果(Idein公式ブログ):
「百貨店の利用者は中高年ばかり」は思い込み?そごう・西武がAIカメラで発見した意外な利用客
https://www.idein.jp/ja/blog/230404-retailtech-edge-ai
■実証実験における個人情報の取り扱いについて
本実証実験にて取得・加工・分析を予定しているデータは以下となります。
取得:お客様の顔を含む全身画像
加工:画像から生成するお客様の顔の特徴を示すデータ(特徴量ベクトル)
分析:来店履歴(年月日、来店時間)
当日の店舗内での移動・滞留状況
推定される属性(性別・年代)
AIカメラで撮影した映像は、映像に写った来店客の年代・性別の推定、および顔の特徴を示すデータ(※カメラの映像から抽出する、顔の特徴を示すデータは、人間には判別できない符号に変換されたもの)を抽出後、カメラ内で即座に破棄されます。また、カメラの映像から生成された顔の特徴を示すデータは、当日の移動履歴を分析したのち、24時間後に復元不可能な方法で消去されます。年代、性別の属性データや移動履歴の分析データは統計情報として利用され、そこには特定の個人を識別する情報は含まれません。
なお、個人情報の取り扱いは当社のみで実施します。当社は個人情報を含まない統計情報のみを、そごう・西武に提供します。当社およびそごう・西武は、本実証実験で取得するデータを個人を特定する目的で利用しません。また、会員情報等との紐づけもいたしません。
「国内シェアNo.1」について
デロイト トーマツ ミック経済研究所 『エッジAIコンピューティング市場の実態と将来展望 2022年度版』
(https://mic-r.co.jp/mr/02530/) 「エッジAIプラットフォームのベンダシェア(台数)」の調査結果に基づく
■株式会社そごう・西武 概要
「新しい発見を提案し続ける百貨店へ」
全国に10店舗を展開。フルラインアップの大都市型店舗からデイリーニーズにお応えするショッピングセンター型店舗まで立地特性を生かした多様な店舗展開をおこなっています。
【創業】 1830年
【代表者】 代表取締役社長 林 拓二
【所在地】 東京都豊島区南池袋1-18-21 西武池袋本店書籍館
【事業内容】 百貨店業
コーポレートサイト: https://www.sogo-seibu.co.jp
■Idein株式会社 概要
安価な汎用デバイス上での深層学習推論の高速化を実現した、世界にも類を見ない高い技術力を有するスタートアップです。当該技術を用いたエッジAIによる現場データ収集プラットフォーム「Actcast」を開発し、実用的なAI/IoTシステムを開発・導入・活用する開発者及び事業会社へのサービス提供を行っております。今後もパートナー企業と共に、AI/IoTシステムの普及に貢献してまいります。「実世界のあらゆる情報をソフトウェアで扱えるようにする」をミッションに掲げ、日本国内では経済産業省 J-Startup選定をはじめ、日本経済新聞社 NEXTユニコーン企業にも選ばれています。
英Arm社のAI Partnerや、米NVIDIA社のInception Program Partnerになるなど、海外でも高く評価いただいています。
【設立日】 2015年4月7日
【代表者】 代表取締役 中村 晃一
【所在地】 東京都千代田区神田神保町1-4-13
【事業内容】 Actcast事業(エッジAIプラットフォームの開発・運営)、受託開発事業(次世代自動車開発での協業等)
コーポレートサイト: https://www.idein.jp
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