『THE FIRST SLAM DUNK』超大ヒットの3つの秘密
KIQ REPORTでは、年1回以上映画館で映画を見る全国の15~69歳、1,757名にアンケ―トを実施し、2023年正月映画の鑑賞者分析を行っています。
前回の記事では、正月映画の第ヒット5作品における客層の違いを、7つのライフスタイル別に分析しました。
第2回目となる今回は、“宣伝をしない宣伝”を成功させ見事興収100億円を突破、映画業界でも大きな話題となった『THE FIRST SLAM DUNK』(※3/5時点で興収116億円)に注目してみます。異例ともいえる超大ヒットの秘密について、劇場鑑賞者データから迫りたいと思います。同じく興収100億を突破した『すずめの戸締まり』(※3/5時点で興収140億円)を比較対象にして検証します。
秘密1:原作世代=動員しづらい30~40代をしっかり取り込んだ!
まず、劇場鑑賞者の出現率を年代別に見てみましょう。
興収で上回る『すずめの戸締まり』が全体値で4ポイント上回りました。10-20代では約10ポイントの大差がついていますが、30代以上では僅差です。
これを鑑賞者の構成比から見てみると、両作品ともに男女比はほぼ半々。ただ、年代の構成比には違いがあり『THE FIRST DLAM DANK』は30-40代がもっとも多く、若年層が中心の『すずめの戸締まり』とはやや異なります。
さまざまなライフステージ、ライフスタイルが混在する30-40代を動員するのは意外と難しいものですが、原作世代であるこの年代をしっかり取り込んでいる点が注目でしょう。
秘密2:ネット&SNSに強かった! ロングランヒットにも大きく貢献。
次は、情報源です。
『THE FIRST SLAM DUNK』は“宣伝をしない”という異例の宣伝戦略を取りました。やはり「TV番組」「TVCM」を通じた認知者は『すずめの戸締まり』を下回りましたが、「ネットニュース」「SNS」では明確に上回りました。 あらすじを含め映画に関する情報が限られる中、映画公開前から原作ファンの間では考察が白熱し、批判も含めてネットやSNSで盛り上がっていましたね。『すずめの戸締まり』は若年層が多くネットやSNSとの親和性の高い作品ですが、それを上回った点は特筆に値します。
また、公開から8週連続で動員TOP、さらには12週目で首位に返り咲くなど、SNSのパワーを強く感じさせる興行展開となりました。
秘密3:アニメ映画大ヒットの法則を打ち破る客層で大ヒットへ!
最後に同行者(誰と鑑賞したか)を見てみましょう。
ヒット作ほど単身客の割合は低下するので、両作ともに1人で鑑賞した人は40%を切る低い水準です。『THE FIRST SLAM DUNK 』の特徴は友人や恋人・配偶者との鑑賞者の割合が高く、ファミリー層が少ない点です。これまで興収100億円を突破したアニメ映画は『鬼滅の刃~』のようにファミリー層を取り込むか、新海誠監督作品のように若年層で爆発的な人気を博すかの2択でした。マスメディアに依存せずに、30-40代の非ファミリー層をしっかり取り込み、息の長い興行で興収100億円を突破した 『THE FIRST SLAM DUNK』 は映画宣伝・興行のあり方を変える可能性のある画期的な作品といえそうです。
【調査概要】
調査時期:2023年1月24日(火)〜2023年1月31日(火)
調査対象:計1,757名 (15歳~69歳の男女)
調査手法 :インターネット調査(FastAsk利用)
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